夜歩く

仕事が思うようにはかどらず夜遅くまでかかり、片づいた頃にはビルの中はシーンと静まり返って人の気配はなく、電気もほとんど消されてしまっていた。
早く帰らないとと思い、その前に小さい明かりを頼りにこわごわトイレへ行くと、
「ふぅーっ、ふぅーっ‥‥。」
という声が聞こえてくる。
びくっとして周りを見回すが、音の元は見あたらず、急いで用を足してトイレから出ると、背後から今度ははっきりした声が聞こえてきた。


「出たぁ。」


守衛さんがウンコしてる声だった。