父がワイドショーを見ながら 「戸田菜穂は広島出身者なんじゃの。こりゃ是非とも松井と結婚してほしいのお。」 勝手に余計なもの背負わせるな。

食事が終わって父が家族に向かって 「わし風呂入るでー。」 と言うので、みんなテレビを見ながら 「どーぞー。」 と気のない返事をしていたら、 「誰か一人くらい『行かないで』とか言えんのか。」 とぶつぶつ言いながら風呂に入って行った。 どこまで寂しが…

食事中に父が 「うわっ、詰め物が取れた。」 と言って口から何か吐き出して、それを見ながら 「あれ、違うわ。昨日噛んどったガムじゃ。出すの忘れとったわ。」 心配になるようなこと言うな。

両親がめずらしく険悪なムードで、晩ご飯も一言の会話もなく終わったので、こっそり母に原因を聞いてみた。 「せっかく晩ご飯用意して待ってるのに、『焼き肉食べに行きたい』ってわがまま言うから怒ったらすねたんよ。」 晩ご飯しっかり食べてるやん。

食事中、父が箸で梅干しの種を挟んだまま、キョロキョロと家族を見回していた。 「何してんの？」 「誰か茶碗に梅干しの種入れさせてくれんかと思って。邪魔じゃけえ。」 自分のに入れろよ。

家を出るときに父に声をかけられた。 「帰りにチョコレート買ってきてくれんか。あの何とかいう新製品のやつ。」 「何とかじゃわからんよ。」 と言い返すと、母が口を挟んで 「ほら、あれでしょ。あの若い子がCMやってるの。」 「それそれ。よく通じるのー。…

父が新聞のスポーツ欄を見ながらぶつぶつ言っていた。 「琴欧州は急に人気出てきたけど、名前投げやりじゃのー。こんな強くなると思ってなかったんかの。わしじゃったらもっと格好いいの考えるのに。」 「へえ。たとえば？」 「『琴醍醐』とかどうよ。ブルガ…

母「私、エステ行ってみようと思うんやけど。 でもえらい太ったおばさんが来た言うて店員さんに笑われるかな。」 父「そんなことないじゃろ。金づるが来たって喜ぶわ。 逆に最初からスタイルがいい人じゃったら、ハゲが床屋行くようなもんじゃろ。」 母「そ…

シャワーを浴びていると、シャンプーにマジックで『シャンプー』と書いてあったので、上がって誰が書いたのか聞いてみた。 父「ああ、それワシじゃ。リンスと見分けがつかんから書いたんじゃけど、目つむってたら結局見分けつかんの。」 意味ないやん。

父が「うちの若いもんが使っとるパソコンがおかしいけえ、ちょっと見てくれんか。」と言うので、休日に父の会社に行って件のパソコンを見てみると、スパイウェアてんこ盛りだった。仕事中にサボってアダルトサイト見てるやつがいるんだなーと思い、 「何回直…

父「おい、携帯のメールのやり方どうするんじゃったっけ？」 ふう「また忘れたん？もう二回も教えて、ちゃんとメールできるようになってたやん。」 父「使う必要がないけえ忘れるんじゃ。」 じゃあ教わる必要もないやん。

父「おもしろい番組やってないのー。」 母「9時からウォーターボーイズやるみたいよ。」 父「男のシンクロは見とうない。」 身も蓋もないな。

父と母がなんとなく険悪なムードだったので何があったのか聞いてみた。 「お父さんが『福山雅治の口は絶対臭いはずじゃ』って言い張るんよ。」 どうでもいいよ。

先日結婚式を挙げたばかりのいとこのユウコちゃん（仮名）のことを父がしみじみと語っていた。 「ほんの少し前までランドセルしょって学校行きよった思うたけど、早いもんじゃのー。もう妻子持ちか。」 持ってない。

父が書斎でインターネットをしたいが電話回線がないので、少し離れたリビングからLANケーブルを延ばそうということになった。（無線LANは諸事情により却下。） ふう「回線工事に来てもらうのも大げさやな。でもケーブルを廊下に這わすのもみっともないし。」…

父がテレビで「腹式呼吸はかなりカロリー消費する」というのを知ってさっそく挑戦し始めた。 「すー、はーっ、すー、はーおうえっ！げほっ、ごほっ！」 腹式呼吸も無理か。

母が今週から入院している。昨日見舞いに行ったとき、父が寂しそうだと母に言うと、 「ぎゃーぎゃー言うてたら相手してあげて。」 夫婦愛だと思いたい。

仕事が終わる頃になって母からメールが入った。 「悪いけど買い物してきてくれる？ お父さんは『あっさりしたトンカツ』、お母さんは『あんまり甘くないケーキ』ね。」 どこに売ってるんだ。

父がなんだか満足げな顔で 「今日はいいことしたぞ。」 と言うので、何かと聞くと 「ティッシュの箱と取り出し口のビニールを分類して捨てたで。」 幸せな人だな。

先日、床屋へ髪を切りに行ったとき 「髪の毛ものすごく硬いですねえ。」 としみじみ言われてしまった。彼によるとこの地域で1、2を争う程の硬さらしい。 小さい頃、父が自分の爪の垢を掃除するために毎日俺の頭をシャンプーしにきてたことを思い出した。 俺…

俺が子どもの頃、クッキーを食べているときに父にこう叱られた。 「こら、ぼろぼろこぼすな。こうやって食べるんで。」 そう言って父はスースーと息を吸いながらクッキーを食べ始めた。 なるほど、これならこぼれないなと納得して、それ以来なるべく人に気づ…

常々「若い人が行く店は苦手だ。」と公言している父。 スタバやケータイショップはともかく、マクドやファミレスでさえ絶対に一人では入れないそうだ。 そんな父が嬉しそうに 「今日若い人が行く店に行って買い物して来たぞ。」 と言うのでどこへ行ったのか…

俺がアホな子供だった頃、クッキーを口の端からぼろぼろこぼしながら食べていると、それを見ていた父が 「バカ、クッキーは息を吸いながら食べればぼろぼろこぼさんですむんじゃ。わしは子供の頃からそうしとるで。」 と言うので、純粋無垢な俺はそれ以来す…

うちの父は社員6人の小さな会社の社長をやっている。この長く苦しい大不況の中、小さな製造業の会社を生き残らせて来た、父の仕事に対する誠実さと堅実さを、内心誇りに思っている。さぞかし社員の人たちにも尊敬されていることだろう。 先日、父が若い社員…