柱の傷

 子供の頃住んでた家を長らく人に貸していたんだけど、先日その人達が退居したので、次の入居者が決まる前に両親と弟と俺とで修繕や大掃除をすることになった。
 15年振りに入った元我が家は、他人が住んでたとは思えないほど以前のままで、とても懐かしかった。


「おっ、この柱の傷。ひょっとして身長計った跡かな」
「ほんまじゃ。でも兄ちゃんと身長競った記憶ないな」
「俺もないな。あ、ここ何か書いてある? ええと……」
「『お父さん』……あ、こっちは『お母さん』……」


 息子の身長を計れよ。