スポーツマン 

 歩道を歩いていると、前の方からジャージを着てでっかいスポーツバッグをかついだ体格のいい男たちの集団が道を塞ぐようにゾロゾロと向かって来た。ラグビーか何かの選手だろうか。びびって歩道の端っこに避けようとすると、俺の後ろから来た小柄な杖をついたおじいさんがツカツカと集団の前へ進み出て
「通してくれるか?」
と言い放った。ムキムキの男たちは全員一瞬ビクッとした顔をして、道の真ん中を開けておじいさんを通した。中には深々と頭を下げる男もいる。


「あんたらスポーツマンじゃったら、普段から緊張感持っとかんといけんよ」
 そうつぶやいて、おじいさんは悠然と去って行った。


 一方、俺は歩道の端っこでスポーツマン達が通り過ぎるのを悠然と待った。