我が社に、誰もが振り返るくらいきれいな女性が新入社員として入ってきた。後輩Tくんも例にもれずデレデレしている。 「あの人、ほんっと美人ですよねえ。アイドルが服着て歩いてるみたいなもんですよ」 服着てない方のアイドルが気になるんだけど。

友人Kくんがいつになく深刻な顔で話しかけてきた。 「なあなあ、たまにはまじめなこと話してもいい？」 「うん、いいよ、聞くよ」 「ありがと」 「………………？ 聞くよ？」 「え、今は特にまじめな話ないけど」 そうか。

仕事で失敗をやらかしてしまった。 「あー、やってもーた！ 頭まるめなあかんかな」 「顔は最初からまんまるだからいいんじゃない？」 それで許してもらえるならそれでいいよ。

黒いTシャツに黒っぽいズボンという暑苦しいいでたちで歩いていたら、友人Kくんがケチをつけてきた。 「黒よりもむしろ、やや赤みがかった柿色とかの方がいいと思うで」 そりゃ忍者が闇に紛れるときの心得だろ。

友人Kくん、子供の頃に泥棒に入られたことがあるらしい。 「朝起きたら、カーテンレールだけ盗まれて、カーテンが床に落ちてたんよ。あんときはびっくりしたわー」 かーちゃんがカーテン付け忘れただけじゃねーの。

友人Kくんが、職場の同僚達とうまくいっていないという悩みを打ち明けてきたので、相談に乗ってみた。 「そやなあ。他人は自分を映す鏡っていうやろ。鏡の中の自分がアンパンを食べてるのなら、自分もアンパンを食べてるってことや。何かお前の方に思い当た…

彼女が仕事から帰って来るなり叫んだ。 「あ、シャンプー買ってくるの忘れた！ 忘れんように、手の甲に書いといたのに」 「仕事やのに手の甲にメモなんかしてて大丈夫なん？」 「うん、直接じゃなくて、付箋に書いて手の甲に貼り付けといたんよ」 そら忘れる…

友人Kくんと駅の構内を歩いていたら、向こうから全力で走って来たおじさんが、Kくんに正面からドシンとぶつかってきた。 「悪い！」 尻餅をついた友達を、ちらりと見ただけで走り去ってしまったおじさんに、 「……あ、いえ、お気になさらずに」 とにこやかに…

友達のノートパソコンを借りてインターネットしていたら、ブラウザのブックマークに『ダイエット』というカテゴリがあったので開いてみると、グルメ情報サイトとか、ケーキの作り方とか、ピザ屋のサイトが登録してあった。 「これのどこが『ダイエット』なん…

友達と散歩していると、かわいらしいピンク色の花が咲いた木があって気になった。 「きれいな花やなあ。あれ、何ていう木？」 「植物のこと何も知らんのんじゃねえ。ハナミズキだよ」 「ハ…ナ…ミ…ズ…キ…？」 「そう、ハ、ナ、ミ、ズ、キ！ 原始人に言葉教え…

「山登りしてみたいんやけど、こっから日帰りできるような山ないかな」 「ほーじゃねえ。白木山（標高889.8m）とかどうじゃろ。意外と険しいから、油断せずに最初はゆっくり目のペースで登った方が…」 「もうちょっと楽そうなとこない？」 「ほんなら、火山…

相棒の劇場版を見に行った帰り、映画館の外で、中学生くらいの男の子三人が相棒ごっこをしてた。 「亀山くん、あれを！（ビシッ）」 「右京さぁ〜ん！（ダダダッ）」 「おうっ、ヒマかっ？」 課長一人かみ合ってないよ。

我が家では、箸立ての中に箸もスプーンもフォークも一緒くたに入れている。 「あ、またスプーン取ろうとして間違えてフォーク取っちゃった！ いっそのこと、スプーンあと5、6本買って入れとけば、スプーン取る確率が上がって便利じゃないかなあ」 フォーク使…

実家で飼ってる猫のチースケが、俺が台所でコーヒーを淹れたり、皿を洗ったりしてるときに、お行儀よくチョコンと座ってじーっとこちらを見ているので、 「腹減ってんの？ ごめんな、これチースケのご飯ちゃうねん」 と相手していると、それを聞いていた母が…